サックス練習と身体的トラブル

サックスの練習を始めると身体に異変や痛みを感じる事がありませんか?今日はその原因と対処法をお話ししたいと思います。

まず考えられる痛みや異変の種類を挙げてみましょう。

  1. 顎の痛み、もしくは食事中などに「カクッ」となる
  2. 首が痛い(伴って後頭部も痛い)
  3. 肩が凝る
  4. 腰が痛い
  5. 指(手)が痛い、もしくはダルい
  6. 目がしょぼしょぼする

いかがでしょうか。これらを一つずつ解決して行きたいと思います。

  1. 顎の痛み、もしくは食事中などに「カクッ」となる

まず一つ目の顎の痛みに関しては以前に書いたブログにもご説明しているのですが、この症状はリード楽器奏者の殆どの人が抱える症状ですが顎を前に突き出すと言う簡単なストレッチで症状は治ります。是非試して下さい。少し上を向いてすると首から顎にかけての筋肉を伸ばす事が出来ます。その際「思いっきり」しないように注意して下さい。あくまでも「軽く、ゆっくりと」筋肉を伸ばします。 大切なのは朝起きる前にまず布団の中でゆっくり顎のストレッチをしてから起きる癖をつける事です。特に朝食を食べながら顎がカクカクと音がする人は是非実践して下さい。

ナポレオンフィッシュの顔真似ではありません。

2. 首が痛い(伴って後頭部も痛い)

二つ目の首と後頭部の痛みですが、ここに痛みを感じる方は首掛けタイプのストラップを今すぐ肩掛けタイプに変更する事を強くオススメします。1番のオススメは「サックスホルダー」この見た目がちょっと抵抗があると言う方は似たようなタイプで肩掛けストラップがあります。ストラップについてもこちらの過去記事に写真と共に解説しております。

そして、首もストレッチが重要です。これはわざわざストレッチタイムを作るよりかは日中にチョコチョコと動かす癖をつけた方が効果的です。その際上を向く動作はしないようにして下さい。(これは逆に首を痛めます。)首を真横に動かす動作が非常に効果的なのですが・・・・。出来ますか?バリ舞踊などでよくある動きなのですが、お分かりいただけますでしょうか。「ダンス 首 アイソレーション」と検索すると動画が沢山出てきます。何度か練習すれば誰でも出来る動きですので挑戦してみて下さいね。

わかりやすい様にと絵に描いたらさっぱりわからん絵が・・・・

3. 肩が凝る

「肩が凝る」と「腰が痛い」は楽器を吹く姿勢を変えるだけで劇的に治ります。 まず、「肩が凝る」原因の一つとして、楽器を吹いている姿勢がこのように首と顎が前に出てしまっている事があります。これは楽譜を覗き込む(ガン見してしまう)事によって起きる姿勢です。

ダメ姿勢です。

この姿勢はバランスを取るためにお腹が前に出てしまうので、結果的に腰まで痛くなります。顎を引いてまっすぐ立ち、譜面台を適切な高さに保つ事でかなり改善されます。ご自身の視力に合わせて調整してみて下さい。

オススメの姿勢は「チャーリー・パーカー」の構え方です。まっすぐ立ってまっすぐ前を見て顎もしっかり弾いています。(そして目を見開いています。これは真似しなくても大丈夫です。)肩はリラックスしていて腕と指には無駄な力が入っていないのが良くわかります。

4. 腰が痛い

腰の痛みに関してはもう一つ座り方も大きく関係します座って演奏する時は楽器を身体の右側に構えて演奏する事が多いかもしれません。(オススメは足の間に置いて正面に置く構え方なのですが、バンドによってはNGだったりしますよね。😅)楽器を右側に構えると、楽器の重みで体が右へとねじれます。そうならない様に楽器を自分の方へ引き寄せる構え方に変えてみて下さい。「体はまっすぐ、楽器を斜めに」がポイントです。バリサクの場合は椅子の高さを調整したりペグ(足)を調整して楽器を置いて吹く様にして下さい。

肩に関してももちろんストレッチは有効ですので、肩甲骨を広げる様なストレッチを実行しましょう。あと、肩と腰は「温める」のも効果的です。肩甲骨と腰骨にカイロを貼るだけでも練習が楽になります。

5. 指(手)が痛い、もしくはダルい

「指、手が痛い」・・・これは男性に多いのですが、楽器を握り過ぎです。もしくは右手で楽器を持ち上げてしまっている場合もあります。 右手の親指を見て下さい。もしかしてタコができてませんか?出来ていたら楽器を持ち上げてしまっています。30年以上サックスを演奏している私の手には一切タコはありません。右手のフックがあんな形なのでつい持ち上げてしまいますが、このフックには優しく手を添えるだけにして下さい。

手首が痛い場合は腱鞘炎を起こしているかもしれません。なりやすい人は寒い部屋で腕まくりをして練習していませんか?手首を温める工夫をして下さい。特に受験生の皆さんは気をつけて下さい。手首にハンカチを巻くだけでも良いですよ。

6. 目がしょぼしょぼする

最後の「目がショボショボ」の症状は肩や腰のトラブルにもつながりますが、これは楽譜を一生懸命見て(まばたきの回数が減ってます)必死で指を動かしていると、まず楽譜を覗き込んでしまって顎が出ます。そうすると右手で楽器を持ち上げてしまい、尚且つ上半身に力が入ってしまうので、指をバタバタ動かしながら力一杯キィを握りしめてしまいます。この顎がでた少し前屈みな姿勢が今回の身体の不調全てを引き起こしてしまいます。

「ストレッチ」「姿勢」「冷やさない」の3つに気をつけるだけで練習はかなり快適になります。寒いですが、楽しく練習しましょう〜!!受験生はあと少し!頑張れ〜❤️

村田 紅
大阪音楽大学卒業後ミ・ベモルサクソフォンアンサンブルメンバーとしてヨーロッパ諸国やアメリカカーネギーホールやタイ王室、中国などでのクラシック音楽の演奏を経てジャズ、ラテン、現代音楽とジャンルにとらわれない演奏スタイルを確立。 音楽理論、ソルフェージュのレッスンも行っている。