当ブログでは何度も「オールキィ」の重要性を強調しています。
全てのキィ(メジャー、マイナーそれぞれ12 key で良いと思います。)の調号を頭に入れておくだけで理論への理解は本当にスムーズにすすみます。この点に関してはレッスンでも何度も申し上げております。
たいていの曲はいくつかの転調を繰り返します。それはクラシックでもポピュラーでも同じです。クラシックでは大きな転調は途中で調号が変わりわかりやすい場合もあるのですが、ジャズの曲では細かく(時には3小節と5小節というサイクルで)転調していて、その際調号は用いられてる事はありません。
このような細かい転調があってもオールキィが頭に入っていればコードの並びやメロディの変化記号から「あ、ここは転調してるな。」「シとミにフラットと言う事は Key of Bb に転調だな。」などと判明します。そうすればアドリブで使うべきスケールは転調したキィに属するものになると理解ができて、スムーズな演奏が可能となります。
ざっくり言うと「曲中の転調にパパッと対応しようね!」って事です。😅
その転調ですが、突然なんの関係もないキィ(調)が神出鬼没に現れたりはしません。ほとんどは関係性のあるキィに転調します。近親調と言います。
その近親調について説明します。
まず一番近い近親調は「平行調」です。これは同じ調号を所有するメジャーキィ(長調)とマイナーキィ(短調)の関係を言います。
これは「枯葉」( 英題 Autumn leaves 原題(仏)Les Feuilles Mortes )などでみられます。平行調はそれぞれが所有しているダイアトニックスケールコードがにているので、転調した感じがあまりわからないのですが、メロディーが明るい印象になったり、憂いを帯びたりとゆるやかな変化を感じる事ができます。
平行調と同じような近親調が「同主調」です。これは主音が同じだけれど調号が違うメジャーキィとマイナーキィです。
同主調はみても分かる通り同じ音階で3番目の音が半音違うだけ(ハーモニックマイナーの場合は6番目の音も違います。)で音域が変わりません。ただし平行調よりは変化を感じ取る事ができます。これは所有しているコードが違うからです。Antonio Carlos Jobim 作曲の「Chega de saudade」(英題:No more blues )は曲の前半がマイナー、後半が同主調のメジャーと半分で転調しています。
今回説明した「平行調」と「同主調」はどちらもメジャーからマイナー、もしくはその逆となる転調です。
メジャー、マイナーをそれぞれペアとして記載するとこうなります。
平行調は調号は同じなので主音の位置が変わります。
同主調は調号が変わりますが主音は同じです。
EbはEbマイナー、D#マイナーどちらの可能性もあります。コード進行によります。Dbはマイナーの時異名同音表記になります。
「平行調」「同主調」と言う言葉を覚える必要はありません。必要なのは曲中でなんらかの変化が起きた時に、「ん?ちょっと変わったな。」と感じ取る事です。
変化を感じる事が出来ると曲を聴くのも楽しくなりますよ!
今回は調の関係で最も近い関係について説明しました。 この関係は必ずメジャーとマイナーの関係です。
次回はメジャー同士、マイナー同士の調関係について説明しますね😊