サックスのノイズ問題2

寒い時期に起こりやすいサックスのトラブルの一つとして「ザーッ」と言うノイズが入る問題があります。その解決方法と原因については以前のブログにてご説明しました。

今回は季節に関係なく「音が裏がえる」問題を解決しましょう。

音の裏返り方には3種類あります。

  1. オクターブを跨ぐ時に「ホー」と言う感じで裏返る
  2. 低音がオクターブ上、もしくは1オクターブと5度(12度)裏返る
  3. 高音が「ブー」と言う感じで低く裏返るまたは「キィーッ」と鳴る
  4. 低音が「オヨヨヨヨ」と言う感じで震えてしまう(これは今回番外編です。)

今日はこの問題を全て解決しましょう!

まず1番の「ホー」と言う音ですが、これはオクターブキィを押したラの音(アルト、バリトンなら実音C、ソプラノ、テナーなら実音G)が鳴ってしまっています。 原因は左手薬指にあります。

例えば中指だけを押さえる「ド」の指から「レ」の音を演奏する場合、「ド」の指の時に左手の薬指と小指が上がってしまっている事があります。画像で確認してみましょう。

画像で確認しても分かるように小指が上がってしまい、薬指が小指につられてキィから遠く離れてしまいます。そうすると、次に「レ」を押さえる際右手の3本指(人差し指、中指、薬指)に比べて薬指の「ソ」のキィを押さえるのが0.0何秒か遅れてしまい、結果オクターブひっくり返った「ラ」の音が調子っぱずれに鳴ってしまうのです。

これは肩に力が入ってしまっている事と小指と薬指のコントロールが出来ていない事に原因があります。力を抜くのはもちろんですが、薬指と小指のフィンガートレーニングをする事も有効です。ひとつトレーニング方法をご紹介します。

まず平らな所に指を置き、薬指だけを動かします。次に小指だけを動かして、さらに薬指と小指を交互に動かします。入浴の度にバスタブで・・や、ランチの前にテーブルで・・など習慣化すると上手に出来るようになりますよ!

2番の低音がオクターブまたは12度上にひっくり返る問題は楽器と顔の角度(アンブッシュアーの深さ)にあります。まず、1オクターブ上にひっくり返る時は唇と顎筋に力が入りすぎです。そして、12度上の音が鳴ってしまっている時は顎が前に出ている(アンブッシュアーが深すぎる)事が原因です。実際に動画で見てみましょう。アルトサックスの一番下のシ♭で実演します。

まず本来鳴るべきシ♭の音、ひっくり返った真ん中のシ♭の音、そして12度上のファにひっくり返った音を出します。指は一番下のシ♭のまま演奏しています。顔の角度を見て下さい。(わかり易くする為に大袈裟に動かしていますが、実際はもっと微妙な動きでも音はひっくり返ります。)

3番の高音が「ブー」か「キィー!」と言う問題も同じです。顎を引きすぎていると「ブー」と鳴り、顎が出過ぎていると「キィー」となります。これは下を向くと下にひっくり返る、上を向くと上にひっくり返ると覚えましょう。

これも実演します。アルトサックスの一番上の「ファ#」の指で吹きっぱなしで角度だけを変えて演奏します。最初は「ブー」と下の音がなり、次に「ファ#」(実音ラ)がなり次に「キィー」と高音ノイズがなります。

4番の低音「オヨヨヨヨ」問題は単に息が足りないだけです。この場合の「足りない」と言うのは息の量ではなくスピードが足りない可能性が高いです。慣れると低音でも小さな音量で美しいサウンドが出せるようになります。ロングトーンでブレスコントロールを身につけましょう!

今回ご紹介したノイズは「リードミス」と言われるのですが、実際はリードではなく指のミスです。ただし、「キィキィ」と言いやすいリードがある事も事実ですので、リードは常に何枚か常備しておきましょう。

ミストーンには必ず原因があります。「まだ下手だから」なんて思わずにちょっと角度を変えるだけでサウンドの性能がグッと上がる事は沢山あります。時々鏡で姿勢や角度を見ながらチェックしてみて下さいね! 

ムラータミュージックのホームページはこちらです。レッスンの様子などもご紹介しております。

村田 紅
大阪音楽大学卒業後ミ・ベモルサクソフォンアンサンブルメンバーとしてヨーロッパ諸国やアメリカカーネギーホールやタイ王室、中国などでのクラシック音楽の演奏を経てジャズ、ラテン、現代音楽とジャンルにとらわれない演奏スタイルを確立。 音楽理論、ソルフェージュのレッスンも行っている。