楽典のススメ:10 キィの関係性その2属調・下属調

前回の楽典では近親調の平行調と同主調について説明しました。この二つは必ず長調(メジャー)と短調(マイナー)のペアになります。今回は主音から数えて4番目の下属調と5番目の属調についてご説明します。

これは受験でもアドリブでも重要な関係性の調です。

・平行調は調号が同じ長調と短調のペア(例:CmajorAminor

・同主調は主音が同じ長調と短調のペア(例:CmajorCminor

平行調と同主調はとても近い近親調で、いわば夫婦のような感じです。(陰と陽的な)🌓

今回説明するのは属調と下属調です。この転調は長調どうし、短調どうしの転調となりますので親子とか兄弟のようなイメージです。

属調と下属調に入る前に音階の7つの音の呼び名について見てみましょう。音階の一つひとつの音には名前があります。

この主音から見て5番目にあたる属音を主音とする調を「属調」と言います。

例えば C major の主音はC(ド)です。そのCから数えて5番目にあるのはG(ソ)の音です。そのGから始まる音階 G major が属調になります。

従って C major の属調は G major と言うことになります。属調への転調はシャープが1つ増える(またはフラットが1つ減る)転調です。

曲で言うとバッハのインヴェンション1(BWV772)が非常にわかりやすくCmajorからGmajorへ転調しています。

次に主音から見て4番目にあたる音を主音とする調を「下属調」と言います。

C major から見ると F major になります。下属調への転調はフラットが1つ増える(シャープが1つ減る)ことになります。

曲で言うとSatin doll や オルフェのサンバ、黒いオルフェの後半、On the sunny side of the street などです。

何度も言いますが平行調、同主調は長調と短調のペア。

属調、下属調への転調は長調同士か短調同士の転調となります。今回はこれがポイントです!

次回はちょっと遠い近親調について説明します。

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村田 紅
大阪音楽大学卒業後ミ・ベモルサクソフォンアンサンブルメンバーとしてヨーロッパ諸国やアメリカカーネギーホールやタイ王室、中国などでのクラシック音楽の演奏を経てジャズ、ラテン、現代音楽とジャンルにとらわれない演奏スタイルを確立。 音楽理論、ソルフェージュのレッスンも行っている。